【第62回 気象予報士試験 専門知識】問10 冬の日本周辺の気象現象をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第62回気象予報士試験 専門知識 問10を解説します!

この問題は、冬の日本周辺で見られるシベリア高気圧JPCZ筋状雲離岸距離についての問題です。

この問題で重要なポイント

  • シベリア高気圧は寒冷な下層大気による背の低い高気圧
  • JPCZでは、850hPa面で気温の尾根が見られることがある
  • 冬季の筋状雲は対流圏界面まで達することは多くない
  • 離岸距離が短いほど、下層寒気が強い目安になる
  • 冬型では「寒気の強さ」と「日本海上での雲の発生位置」を結びつける

■ 問題文

冬の日本周辺の気象現象について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)冬にシベリア方面に現れる高気圧は、対流圏下層から上層まで寒冷な空気で満たされた背の高い高気圧であり、高気圧の圏内では気塊の沈降による下降流が見られる。

(b)日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)が発生するとき、上空には強い寒気が流入しており、850hPa面の気温分布は、この収束帯に沿って周辺より低温となっていることが多い。

(c)冬型の気圧配置のとき、大陸からの寒気の吹き出しにより海上で形成される筋状の対流雲は、強い不安定により発達して、雲頂が対流圏界面に達することが多い。

(d)冬型の気圧配置のとき、日本海に発生する筋状の対流雲の大陸からの離岸距離は、海面水温や風速などの他の条件が同じならば、大陸から流れ込む大気の下層の気温が低いほど短い。

(a) (b) (c) (d)

■ 解答

(a)誤
(b)誤
(c)誤
(d)正

■ 解き方の方針

この問題は、冬の日本海側の雪雲を作る仕組みをイメージできるかがポイントです。

大陸から寒気が吹き出す

日本海上で熱と水蒸気を受け取る

対流雲が発生

日本海側に雪をもたらす

特に、シベリア高気圧を「背の高い高気圧」とするひっかけ、JPCZを「低温域」とするひっかけに注意しましょう。

■ (a)シベリア高気圧は背の低い高気圧

(a)は誤りです。

冬にシベリア方面に発達するシベリア高気圧は、強い放射冷却によって地表付近の空気が冷やされることで形成される高気圧です。

冷たい空気は重いため、地表付近にたまりやすくなります。

そのため、シベリア高気圧は対流圏下層を中心とした背の低い高気圧です。

問題文では「対流圏下層から上層まで寒冷な空気で満たされた背の高い高気圧」としているため誤りです。

ここがひっかけ!

シベリア高気圧

地表付近の冷たい空気でできる

背の低い高気圧

「高気圧=下降流=背が高い」と単純に考えると間違えます。シベリア高気圧は下層の寒冷な空気に対応する高気圧です。

したがって、(a)はです。

■ (b)JPCZでは850hPa面で低温ではなく気温の尾根が見られる

(b)は誤りです。

JPCZとは、日本海寒帯気団収束帯のことです。

冬型の気圧配置のとき、大陸からの季節風が朝鮮半島北部の山地などの影響を受けて分流し、日本海上で再び合流することで形成されやすい収束帯です。

JPCZでは、下層で風が収束し、発達した雪雲が帯状に並びます。

このとき、850hPa面では、収束帯に沿って周囲より高温となり、気温の尾根が形成されることがあります。

問題文では「周辺より低温」としているため誤りです。

JPCZのイメージ

季節風が山地で分流

日本海上で再び合流

収束帯が形成

帯状の雪雲が発達

JPCZの気温分布のひっかけ

問題文:収束帯に沿って低温

×

正しくは

収束帯に沿って高温・気温の尾根

「寒帯気団」という名前から低温域を選びたくなりますが、850hPa面では気温の尾根として表現される点に注意しましょう。

したがって、(b)はです。

■ (c)冬季の筋状雲は対流圏界面まで達することは多くない

(c)は誤りです。

冬型の気圧配置では、大陸から冷たい空気が日本海上へ流れ出します。

この寒気が日本海から熱と水蒸気を受け取ることで大気の下層が不安定になり、筋状の対流雲が発生します。

ただし、冬季の日本海上の筋状雲は、主に対流圏下層で発達する雲です。

積乱雲のように強く発達する場合もありますが、一般に雲頂が対流圏界面に達することが多いとはいえません。

ここもひっかけ!

冬の筋状雲

下層寒気と日本海からの熱・水蒸気で発生

主に対流圏下層の雲

対流圏界面まで達することは多くない

「強い不安定」と聞くと対流圏界面まで発達しそうに感じますが、冬の筋状雲は下層中心の現象として押さえましょう。

したがって、(c)はです。

■ (d)下層の気温が低いほど離岸距離は短くなる

(d)は正しいです。

離岸距離とは、大陸の海岸から離れて、最初に筋状雲が発生し始めるまでの距離のことです。

大陸から流れ込む下層の空気が非常に冷たいほど、日本海の海面との温度差が大きくなります。

すると、海上へ出た直後から大気の下層が不安定になりやすく、雲が早く発生します。

そのため、海面水温や風速などの条件が同じならば、下層の気温が低いほど離岸距離は短くなります。

離岸距離の考え方

下層寒気が強い

海面との温度差が大きい

海に出てすぐ不安定化

雲が早く発生

離岸距離が短い

したがって、(d)はです。

■ 選択肢確認表

選択肢 正誤 理由
(a) シベリア高気圧は下層の寒冷な空気による背の低い高気圧
(b) JPCZでは850hPa面で収束帯に沿って高温となり、気温の尾根が見られる
(c) 冬の筋状雲は主に対流圏下層の雲で、対流圏界面に達することが多いとはいえない
(d) 下層の気温が低いほど海面との温度差が大きく、雲が早く発生するため離岸距離は短い

以上より、正しい組み合わせはです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. シベリア高気圧を背の高い高気圧と覚えてしまう

シベリア高気圧は、下層の寒冷な空気によって形成される高気圧です。

冷たい空気は重く、地表付近にたまりやすいため、背の低い高気圧と考えましょう。

2. JPCZを低温域と判断してしまう

JPCZは寒帯気団収束帯という名前なので、低温域と考えたくなります。

しかし、850hPa面では収束帯に沿って高温、つまり気温の尾根が見られることがあります。

3. 筋状雲を夏の積乱雲のように考えてしまう

冬の日本海上の筋状雲は、下層寒気と日本海からの熱・水蒸気で発生します。

発達した雪雲になることはありますが、対流圏界面まで達することが多いとはいえません。

4. 離岸距離の意味がわからず暗記になる

離岸距離は、海岸から雲が発生し始めるまでの距離です。

寒気が強いほど、海へ出た直後に不安定化しやすいため、離岸距離は短くなります。

■ まとめ

  • (a)シベリア高気圧は背の低い高気圧なので誤り
  • (b)JPCZでは850hPa面で気温の尾根が見られるため、低温としている点が誤り
  • (c)冬の筋状雲は対流圏界面まで達することが多いとはいえないため誤り
  • (d)下層の気温が低いほど雲が早く発生し、離岸距離は短くなるため正しい

正解は⑤

(a)誤・(b)誤・(c)誤・(d)正

この問題で必ず押さえたいこと

シベリア高気圧
= 背の低い高気圧

JPCZ
= 収束帯に沿って気温の尾根

冬の筋状雲
= 主に対流圏下層の雲

下層寒気が強い
= 離岸距離が短い

冬型の気象現象では、大陸からの寒気、日本海からの熱と水蒸気、雪雲の発生位置をセットで理解しましょう。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第62回 専門知識 問10の解説でした!

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